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医療費控除とセルフメディケーション税制の選択

平成30年度所得税確定申告に備えて

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平成30年度所得税確定申告に備えて

平成28年度税制改正で創設されたセルフメディケーション税制について、あまり認識されていない方が結構いらっしゃるかと思います。なんとなく、医療費控除みたいなものかなと思っている方も多いと思いますが、医療費控除との違いがよく分かっていない方もいらっしゃるかと思いますので、分かりやすく解説をさせて頂きます。

医療費控除は、(医療費の合計額-保険金等の補填額)-10万円(最高200万円)を所得金額から控除できる制度です。これに対して、セルフメディケーション税制は、医療費控除と同じ所得税額控除ですが、実際に支払った特定一般用医薬品等購入費の合計額(保険金などで補填される部分を除きます。)から1万2千円を差し引いた金額(最高8万8千円)です。これを図解で説明すると、以下のような感じになります。

医療費控除とセルフメディケーション税制

これだけ見ると医療費控除の方がいいように見えますが、セルフメディケーション税制は、今まで医療費控除を取れなかった方が対象となります。つまり年間の医療費が10万円以下の方は今まで医療費控除をとることが出来なかったのですが、こういった方も所得控除の恩恵を受けられるようになったという事です。この図解とここまでの文章を読むと医療費控除を取れる方は、セルフメディケーション税制の8万8千円も取れると勘違いされるかもしれませんが、セルフメディケーション税制は、医療費控除の特例であり、どちらか一方しか適用できません。

その他の違いとしては、対象となる医療費の範囲が異なります。対象となる医療費は、医師の診察代や医薬品の購入費等が該当します。詳細は、国税庁HPの以下のURLをご参照ください。

一方、セルフメディケーション税制は、薬局等で販売されている特定一般用医薬品(いわゆるスイッチOTC医薬品)の購入費が対象となります。こちらも詳細は、以下のリンク先をご参照ください。

年間医療費が、12,000円までの方は、両制度ともに適用を受ける事が出来ません。12,000円~100,000円までの方は、セルフメディケーション税制しか適用を受ける事が出来ませんので、あまり迷う必要性もないかと思います。では、100,000円以上の方はどう判断したらよいかというと、188,000円以上年間医療費が発生している方は、医療費控除をとってください。問題は、100,000円~188,000円の方は、どっちが得かを検討する必要性があるでしょう。この場合には、医療費の内容がセルフメディケーション税制の対象となる医療費かをよく検討してみてください。それを考慮したうえで、所得控除額の多く取れる方を選択して確定申告をした方が宜しいかと思います。

最後になりますが、1点注意点があります。それは、最初にセルフメディケーション税制の制度を選択して、確定申告をした場合に、あとあとよく考えてみたら、医療費控除の方が得だったという場合に、やっぱり医療費控除をとる申告に変更しようと思っても、出来ません(所得税の確定申告期限前であれば、修正可能です。)。これらを踏まえて、確定申告の作業に臨んでください。

三瀬国際税務会計事務所/三瀬社会保険労務士事務所