医療機関の収益で軽減税率の対象となるもの
2019年10月1日から当初の予定通り消費税増税、軽減税率の適用がスタートするようですね。そもそもこの軽減税率の対象となるものは、外食及び酒類を除く飲食料品の譲渡と定期購読契約に基づく新聞の譲渡です。医療機関の財務経理に携わる立場として、これらの処理を区別して、経理する事務作業が増加することは、もはや避けられない状況です。
医療機関においては、社会保険診療に該当する取引が、介護事業においては介護保険法に規定する介護及び日常生活費が消費税非課税ですが、消費税の課税される自費診療や介護保険の対象外となる訪問介護の要介護者以外の家族の居室の清掃費、食事等は10%課税となり、軽減税率の対象とはなりません。
次に、入院患者に病院食を提供した場合、社会保険診療に該当するものは、消費税非課税となりますが、患者の選択により、特別メニューの提供を受けた場合は、社会保険診療に該当しないことから消費税が課税されますが、こちらの税率も10%となり、軽減税率の対象となりません。
では、軽減税率の対象となる収入は何があるでしょうか。老人ホームやサ高住における日常生活費ではあるが課税の対象となる食事の提供は、1食当たりの対価(税抜)が640円以下で、かつ、1日の累計額が1920円(640円×3食)までの飲食費に限り軽減税率が適用されます。
最後に、差額ベッド代については、どの様な取り扱いになるでしょうか。消費税法は、基本的には、社会保険医療の給付等は、非課税として取り扱いますが、差額ベッド代については、非課税取引とはなりません。つまり、消費税課税で10%課税となり、軽減税率の対象となりません。ただし、助産に係る差額ベッド代は、非課税になります。以下、消費税の基本通達をご参照ください。
消費税法基本通達6-8-3
(妊娠中及び出産後の入院に係る差額ベッド料等の取扱い)したがって、妊娠中の入院及び出産後の入院(6-8-2に掲げる入院に限るものとし、異常分娩に伴う入院を含む。)における差額ベッド料及び特別給食費並びに大学病院等の初診料についても全額が非課税となる。(平12官総8-3により改正)