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スクイーズアウト税制

平成29年度税制改正による変更点

· 組織再編,平成29年税制改正,事業承継,買収,M&A

スクイーズアウト税制

この度、平成29年10月1日以降に行われる組織再編成で、実務上、少し使いやすくなったかなと思ったところをご紹介させて頂きます。

 

少数株主を追い出す方法として使われるスクイーズアウトですが、これにより、完全子法人化をする手法として、使われるのは以下の5つがあげられるかと思います。

1、合併

2、株式交換

3、全部取得条項付種類株式

4、株式併合

5、株式売渡請求

 

一つ一つ改正の概要を説明しますと、合併と株式交換については、スクイーズアウト時の課税関係は、原則→時価評価課税(税制非適格) 例外→簿価引継により非課税(税制適格)となりますが、こちらについて、税制適格や税制非適格などの判定の際にいろいろと要件があります。その要件の一部が少し緩和されました。それは、改正前は、合併・株式交換の対価要件として、原則的に現金を交付してはいけなかったのですが、合併法人等が被合併法人等の発行済み株式の3分の2以上を保有する場合の少数株主に対する金銭等を交付したとしても、税制適格にすることが出来るようになりました。一方、上記3(全部取得条項付種類株式)~5(株式売渡請求)については、基本的に改正前は、課税なしだったのですが、合併や株式交換と同様に税制適格の判定の要件を考慮しなければならなくなったため、使い勝手が悪くなったと言えるでしょう。

※上記内容は、連結納税を採用していないケース(単体納税)に限ります。

 

また、スクイーズアウトされる株主さんの方の課税関係も多少変わっています。上記3(全部取得条項付種類株式)の方法によりスクイーズアウトを行った場合には、改正前は、反対株主の買取請求による自己株式を買い取った場合は、株式譲渡損益とみなし配当が発生していましたが、改正後は、自己株式の買取は、みなし配当事由から除外されますので、株式譲渡損益に対する課税だけで、20.315%の源泉分離課税になります。

 

これからの実務的には、当然、案件にもよりますが、使いやすい手法としては、買収対象法人の9割以上を支配する株主が存在する場合には、上記5(株式売渡請求)を使用し、2/3以上の株式を支配している場合には、上記2(株式交換)、4(株式併合)辺りが使いやすいのかと考えます。

 

三瀬国際税務会計事務所では、これらの組織再編成を使った事業承継のスキーム等もご提案させて頂きますので、ご興味のある方をHPよりお問い合わせください。

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