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医療機関に対する税務調査のポイントとは?
~その②:自由診療収入について~
今回は、自由診療収入の税務調査についてまとめます。診療科目などにより若干の差異はありますが、自由診療の調査ポイントは、①現況確認調査、②自由診療に直結する原価や取引資料との照合、③来患簿・日計表などの調査が中心になるかと思います。
それでは、それぞれのポイントについて詳しい内容を見ていきます。
- 現況確認調査 現況確認調査とは、進行年度(申告期限が到来していない)分の調査のことです。どのようなものが現況確認調査の対象になるかというと、例えば、窓口における予約簿、来患簿、日計表、領収証控などです。ほかにも、帳簿、カルテ、その他各種請求書や領収書などの保存状況や場所の確認、当日の現金監査と帳簿との照合、さらには、預金通帳、印鑑、暦、電話帳、メモ類など収入把握に必要なものが対象になります。
- 自由診療に直結する原価や取引資料との照合 診療科目特有の自由診療に直結する仕入や外注費の請求書がある場合、個々の照合と数量等による検討(収入と経費の紐づけ)が行われます。自由診療に直結する原価とは、たとえば歯科における技工の外注・高級金属の仕入、産婦人科における麻酔薬などが該当します。これらの照合・検討の結果、差異があれば関連する原始記録やカルテの調査に発展しますし、仕入や外注費の請求書(納品書)提示や保存がない場合には反面調査に発展することもあります。上記の対策としては、確定申告にあたっては個別に照合可能なものは個別にチェックし、数量によるものは正確な棚卸を行い、数量に差異がある場合はその理由の解明を励行することが大切です。
- 来患簿、日計表等の調査 予約簿、来患簿等にその日の主な治療内容を記載している場合には、その中から自由診療と思われるものをピックアップし、診療内容の確認を行います。また、明らかに窓口の一部負担がない老人医療や公費負担などによる患者以外で、来患簿や日計表の窓口収入欄が空白になっている場合も、自由診療患者か否かの確認のためカルテ等の検査やその原価の有無の調査に発展します。このように、予約簿・来患簿・日計表等は重要な原始記録として検査の対象となるので取り扱いには十分留意する必要があります。
以上が自由診療収入の調査ポイントとなります。日計表や来患簿なども調査対象になり得るということで驚かれた方もいらっしゃるかも知れません。医業関係者の税務調査においては、それだけ自由診療収入の適否に重点が置かれているということになります。